2022年11月8日

シリーズ 身近なSDGs

素朴な疑問ですが、なぜペットボトルとキャップは分別しなければならないのですか?

Vol.02掲載
身近な疑問からSDGsを見てみる

Quarterly OCEAN Vol.02

シリーズ 身近なSDGs


確かに、ペットボトルをリサイクルするときには、「キャップは外してください」と但し書きが記されていますね。なぜでしょう。きっと、何らかの理由がありそうです。OCEAN Vol.02では、この疑問にお答えします。


まず、ペットボトルの素材とキャップの素材の違いから見ていきましょう。

前号(Vol.01)で紹介したように、ペットボトルの素材は、PETと呼ばれるポリエチレン・テレフタレートでしたね。これに対し、キャップに使われているのは、プラスチックである「ポリプロピレン(PP)」と「ポリエチレン(PE)」です。実は、キャップに使われているポリプロピレン(PP)とポリエチレン(PE)は水よりも軽く、一方、ボトルに使われているポリエチレン・テレフタレート(PET)は水より重い特性があります。つまり、水に「浮く」か「沈む」かの違いによってキャップとボトルの素材は分離可能となっているのです。

この比重の違いは、後々の工程に大きな影響を及ぼします。試しにペットボトルとキャップを水の中に沈めて見て下さい。キャップは浮いてきますが、ボトルは沈んでいきます。(とはいえ、ボトルの中に空気が入っていてはダメですよ!)

PETは硬い素材。それに対し、キャップは柔らかい素材。ここに大きな違いがあります。ボトルとキャップの両方に硬い素材を使用すると、気密性の保持に問題が生じたり、消費者がスムーズに開け閉めすることができなくなる懸念があります。ですので、違った材料が使われているのです。ところで、キャップに求められる重要な機能としては、

①容器の気密性を保持すること

②消費者にとって開栓などが使い易いこと

③再商品化するときの適性度合い

などが求められます。その他にも、キャップをペットボトルのリサイクル・ルートに乗せるためには、再商品化製品の品質を維持するため、キャップへの着色もできなくなります。そのほかにも、着色キャップによる識別性や遮光性が失われるなど、新たな問題も発生します。このように、PET製キャップは現状では技術的問題点も多くありますので、キャップのリサイクルに関しては、PETボトルとは異なる「リサイクル」によって対処するのが適切である、と考えられています。


さて、「なぜペットボトルとキャップを分別するのか?」というご質問ですが、もうひとつ、裏の事情があるのです。

先ほど、PETとPP/PEは比重の違いがあると述べました。この違いを上手に用いれば、再商品化工程でPETとPET以外のものを比重分離することができます。そのため、PETボトル協議会の自主設計ガイドラインでは、「キャップはPEまたはPPを主材とした比重1.0未満の材質を使用したプラスチックキャップを使用すること」と定めているのです。PETの比重は概ね1.4です。しかしキャップを外すとボトル側に残る「開封確認リング」はボトルから外せませんね。私たちが普段ペットボトルをゴミ箱に捨てるときに、いちいち、このリングを完全に外してリサイクルするのは困難です。工場側で、キャップ素材とボトル素材を分別するシステムがなければ、結局のところキャップの素材が多少ボトルに混ざる事ことになってしまうため、品質の高いプラスチック製品は作ることができなくなります。

キャップとボトルが分別できると聞くと、「ペットボトルとキャップは素材が違うから分けて回収する」のだ、と思っていた人は少し驚くかもしれません。もちろん、それも間違いではありません。比重分離が行われると言っても100パーセント完ぺきではありませんし、キャップ素材が少なければ少ないほど作業の効率や品質は良くなります。ただ、「多少混ざっていてもいいなら分別する意味がない」と思うでしょう。

確かに実際のリサイクル過程だけを見ると、キャップが多少混ざっていたところで問題はありません。しかし、ゴミの改修からリサイクル工場に送られるまでの過程を見ると、なかなかそうも言えないのです。

ペットボトルキャップのひとつひとつは小さなものですが、チリも積もれば山となるように、860個でポリオワクチン1本分になります。またCO2の削減にもつながります。ある試算によれば、キャップ430個で3150gの削減につながるとのことです。


ペットボトルやキャップなどの廃棄物を資源の捉え、持続的利用に向けたリサイクル処理をすることによって、大気汚染、水質悪化などの環境負荷の低減につながりますので、ぜひみなさんも身近なところからSDGsを実践していきましょう。


 

文責:水嶋英治

参考文献:PETボトルリサイクル推進協議会ウェブサイト https://www.petbottle-rec.gr.jp/qanda/sec1.html


[この記事は、Quarterly OCEAN Vol.02に掲載された内容をweb用バックナンバー向けに再編集したものです。]