2022年11月8日

シリーズ 金融とSDGs

パンと金融の異色のコラボで復活する商店街

Vol.02掲載
キーワードは地域共創

Quarterly OCEAN Vol.02

金融とSDGs


パンと金融の異色のコラボで復活する商店街



2021年の8月27日。

東京オリンピックが終了して間もない頃、福岡県北九州市で、ある銀行店舗がリニューアルオープンを迎えていた。地元、北九州市に本店を置く山口フィナンシャルグループの「北九州銀行」は、八幡中央支店をリニューアルしたが、オープンしたのは単なる銀行店舗ではなかった。


八幡中央区商店街の入口に黒色のシックなデザインの建物がオープンした。元々ここには北九州銀行の支店があったが、リニューアルによる建て替えで建設された物だ。銀行の店舗だが建物の雰囲気を壊さない様に配置されたロゴマークや、窓面から漏れる電球色の室内の灯りは、一瞬銀行店舗だと気が付かないファサードをしている。

店内に入ると右側にはサンドウィッチのショーケースが並び、奥に進むとテーブルと椅子が並ぶカフェの様なレイアウトになっている。入口のATMの機械を見て、そういえば銀行店舗だったと思わせる。店内のカフェのようなスペースはイートインと銀行店舗の共有のスペースでパーティションの奥に銀行の事務所がある。



銀行店舗でありながら、今までの店舗と比べて取扱いの無い業務があるという。

「当支店ではリニューアルを機に、ご相談業務を中心とした店舗とさせて頂きました。店舗の空間コンセプトを明確にするために、従来店舗のようなカウンターを廃止したため、現金の両替や200万円以上の現金の入出金が出来なくなっております。」

今までの業務を廃止してでも拘った店舗作りには狙いがあった。

「銀行という先入観が無く、クリーンな気持ちで地域の皆様にご来店頂きたい。なのでパン屋とのコラボレーションが実現しました。なるべく多くの皆様にご来店頂き、愛される店舗にしたいと思っております。」

と地域に愛される店舗を目指して空間を作っている。


地元が愛するパン屋とパンを愛するオーナー


北九州市八幡東区にはInstagramフォロワー数3,600人を超える、地元で愛される「bakerytender」というパン屋がある。

オーナーを務める五間岩 純氏は、自身の父親が営んでいたパン工場「ゴマイワ製パン」でパン作りを学んだ。パン工場が閉じた後、自分のパン屋をオリジナルの名前でやりたいと「bakerytender」を開業した。「オープンしてみたら多くのお客様からゴマイワさんのパン屋さんですよね?などと多くの声を頂いた時に、父のパンが長年地元に愛されていたことを実感しました。店名にゴマイワを使わずにお店を開いたことで、ゴマイワの歴史を自分が途絶えさせてしまったと後悔しました。」とオーナーの五間岩氏は振り返る。地元が愛してくれていたパンを届けようと、地元の中学校での食育としてパン作りを教えるなど、地域に密着し愛されるパン屋になりたいと活動していた。

「北九州銀行の支店長とは元々顔見知りと言いますか、八幡中央支店が老朽化で建て替えることを知って、コレボレーションが実現しました。」




地域を盛り上げたい思いが一致した奇跡のコラボ


今回オープンした八幡中央支店での店名を「gomaiwa」にしたのも父親に対する尊敬と、「ゴマイワさんのパン」という父親が作った地域との絆を守るためにも名付けたという。「bakerytender」運営する五間岩 純氏と北九州銀行は、地域に愛されるパン屋と地域に愛される銀行を目指してコレボレーションを決めた。店舗の内外装のデザインは五間岩氏が店舗の設計監理を行う業者と進めたことで、銀行らしくない店舗が出来上がった。

「bakerytenderはかなり入り組んだ住宅街の中にお店がありまして、中々足を運びにくい立地にあります。なのでECサイトを立上げてオンラインショップを開設しています。わかりにくいので「隠れ家パン屋」を自称しています。」


人が集まる空間が出来た

人が集まるイベントをやる


「今回のコラボ店舗は商店街の入口にあって立地が非常にいいので、銀行のロビーをお借りしてワークショップなどを定期的に開催しています。」

店舗をリニューアルする際に、「地域に賑わいを創出する。」「地域の人たちが訪れやすい銀行店舗」をテーマにしていた。「計画当初からショップ併設であることと、マルシェやワークショップなどのイベントが開催できる用にという計画がありました。」その言葉通り、オープンしてから陶芸教室やコンサート、北九州市のイベント出展などの様々なイベントを開催し、地域を盛り上げてきた。今年の五月には五間岩氏の得意分野である「家庭で簡単に作れるクロワッサン」をテーマにしたワークショップを行った。「家庭でも簡単に作れるがテーマだったので、前日に六千円の家庭用レンジを購入しました。」と五間岩氏。「少しでもお客様との心の距離を近づけるために、五間岩さんと作戦を考えました。」と支店長と常にイベントを考えているという。

「銀行さんのファンがイベントを通して増えていくことが理想の形です。イベントを重ねるごとに(Instagram)フォロワーが増えて、常連が増え、大変繁盛しています。」イベントを重ねるごとに五間岩氏はこれを実感しているという。支店長と五間岩氏は「銀行のロビーでいつも使っている家具を使用してのイベントは、今までの銀行では考えられませんでした。家具を動かせば店内の雰囲気は変わります。行内の反対を押し切ってパン屋のテイストに合わせたデザインにしたからこそです。」「確かに休日にカウンターが目に入ったら、ここのロビーを使おうなんて思わないですね。このロビーはいろんなアイディアが生まれてくるし何でもできる。何しろ支店長のノリが一番重要ですね。」二人の仲の良さが地域を明るくし、活気のある商店街と街を作り、地域活性化へと繋がって行くのだろう。



[この記事は、Quarterly OCEAN Vol.02に掲載された内容をWeb用バックナンバー向けに再編集したものです。]

 

施工データ

物件紹介ページ

竣工年月日 : 2021

LOCATION : 福岡県北九州市

GENERAL CONTRACTOR : 株式会社 秀光

SERVICES PROVIDED : 基本設計 設計監理 プロダクト開発

 

店舗情報

北九州銀行 八幡中央支店

福岡県北九州市八幡東区中央二丁目17-12

「gomaiwa.sandwich」

営業日:月~土 9:00~17:00

定休日:日・祝日

093-616-6005

Instagram:@gomaiwa.sandwich